大島莉紗 〜パリ国立オペラ座からの便り〜

パリ国立オペラ座管弦楽団のヴァイオリン奏者によるブログ。

赤と黒

今シーズンの目玉の一つである、バレエの「赤と黒」。スタンダールの小説にラコットが振り付けをした初演作になります。

音楽はマスネーの色々な曲をツギハギして編曲したもの。楽譜を見た瞬間から嫌な予感はしていましたが…

 

とにかく目一杯にお金を使ったであろうこの作品。映像も含め16の場面転換、400着の衣裳そして100人のダンサーとオーケストラで壮大な物となっています。89歳のラコットが自身の集大成を押し込めたのはよくわかりますが、もう少し工夫してコンパクトにできなかったかな?というのが正直な所です。

 

公演の回を追う毎に良くなっては来ていますが、とにかく場面転換に時間がかかり、その都度音楽も止まり会場一体が白けてしまっています。全3幕中、音楽が止まる事、実に8回。最も酷いのが、最後の場面。音楽も舞台も盛り上がって終わるかと思いや、またしてもしばらく待った後に2分位弾いて全て終わり。なんとも変な終わり方です。

 

舞台に関してはほとんど見えないので言いようがありませんが、とにかく古臭い印象です。衣裳も舞台も典型的なネオクラシックで、今の時代に新作としてこの様な古臭い物を出す意味がよくわからない…

ラコットの作品はジゼルやシルフィードなど、どれも似たような古典作品が多く、私の好みではありません。ここまでお金を使うならもう少し洗練された物を作って欲しかったです。(個人的趣向ではありますが…)

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