大島莉紗 〜パリ国立オペラ座からの便り〜

パリ国立オペラ座管弦楽団のヴァイオリン奏者によるブログ。

フィガロの結婚

今シーズン最も楽しみにしていた演目のひとつである、デュダメルによるフィガロの結婚

 

彼の軽快で流れる様なテンポと明るさが、モーツァルトにとてもよく似合っています。

今回の新しい演出では、ガルニエのオペラ座の楽屋や衣装部屋が舞台となっています。掲示板に掲示されているスケジュールまで本物が使われていますし、楽屋のドアも全て本物と一緒。バレリーナも出てきて、本当に舞台裏に紛れ込んだ気分になります。

f:id:MariaCecilia:20220127004820j:image

とは言え、感染者が1日50万人を超えてしまったフランスなので、オペラ内でも陽性者の嵐です。歌手も次々に感染し、毎日の様にキャスト変更の発表があります。新しい演出の為に、歌手でこの演出を経験している人は皆無。本当に僅かな時間で演出を覚えるか、下稽古をしていた控えの歌手が演技する横でそれに合わせて歌うか。代理の歌手も大変ですが、何よりも大変なのが、キャスティング係の人。昨日も終末に苦労して2人の代役を確保したにもかかわらず、当日になってオーケストラの陽性者が多すぎて演奏できずに公演はキャンセル。本当にやりきれない思いだと思います…

 

オーケストラ内も、ここはオペラ座のオケかと思うくらいエキストラの人で溢れています。陽性者と濃厚接触者が多い事に加え、24日からフランス内のワクチンパスの定義が変わった為に健康であるのに弾けない人が出てきてしまったからです。

 

今まではワクチン未接種者は24時間以内発行の陰性証明書があれば問題ありませんでしたが、それが廃止になり、3回接種済みの人か6ヶ月以内に罹患した人以外は本番で弾けなくなってしまいました。

なので絶対数が少なくなり、益々やりくりも大変に…

 

フィガロの結婚はなるべくキャンセルなしで弾きたいのですが、今後どうなる事やら…