大島莉紗 〜パリ国立オペラ座からの便り〜

パリ国立オペラ座管弦楽団のヴァイオリン奏者によるブログ。

トスカ

すっかりご無沙汰してしまいました…

9月からまた新しいシーズンが始まり、こちらもできる範囲内で続けていきたいと思います。

 

今シーズンからは気分を変えて、青チームのオーケストラに移動しました。元々、青に長くいましたが、緑チームがウィーンにツアーに行くという年に、ウィーン行きたさに緑に移動し、そのまま6年過ごしました。そして今回、担当するプロジェクトが青の方が魅力的だったので、古巣に戻ってきました。

 

シーズン最初はデュダメル指揮のトスカ。パリの観客もオケの人達もみんな大好きなトスカですが、私はあまり好きではありません。プッチーニのいかにもお涙頂戴的なメロディーが白々しく感じ、しかも大抵の指揮者が馴れ合いの様に振って、歌手と相まって好き放題に伸び縮みするのが耐えられません…

そんなオペラをデュダメルがどの様に振ってくれるのか、興味深く始まりました。

 

そして昨日の初日、出てきただけで「ブラヴォー、マエストロ」という声が飛び、大興奮の中終演しました。

エネルギッシュではあるけれど、どこまでもエレガント。整然と自然で無理のないテンポ運びでありながら、ここぞという時は物凄いアクセルをかける。様々な対比する要素を持ち合わせながら集中力が途切れず、最後まで飽きさせられませんでした。

10回近く弾いたトスカという曲で、初めてクリアーに構造を見せられた気がしました。

 

実は昨日の公演、マクロン大統領ご夫妻が聴きにいらしていました。最初からいらしたのかはわかりませんが、3幕が始まる前にマクロンが見えるとの事で、ピットから探していました。その時は見えなかったのですが、カーテンコールで立ち上がると、確かにブリジット夫人の姿が。しかしその横にいたマクロン大統領はお付きの人かなと思う程オーラがなく、意外でした。とは言え、立ち上がって拍手を贈ってくださっていました。これからも頻繁に足を運んで頂いて、オペラ座にもっと補助金を出して頂きたいものです(笑)。