大島莉紗 〜パリ国立オペラ座からの便り〜

パリ国立オペラ座管弦楽団のヴァイオリン奏者によるブログ。

デュダメルのリハーサル

明日は、デュダメル就任後初となるガラコンサート。

先日から練習が始まりましたが、彼と音楽を作る事ができる喜びをひしひしと感じています。

あれだけの有名人ですが、とにかく気さくでチャーミング。音楽好きの少年がそのまま大人になった様な感じで、目をキラキラさせてyoutube で見たバーンスタインこう言っていた、クライスラーはこういうポルタメントを使うなど嬉しそうに話してくれます。

 

ヨーロッパ人ではないし、アメリカのオケの音楽監督をしているので、大音量で派手なイメージがありますが、見事なまでに想像の逆をいきました。とにかく現実的な叩きつける音を嫌い、丸みと響きを含み、かつ芯のある音を求めます。今までは鳴らしたい放題だったブラスの音もきちんと調整して、バランスの良い響きを作ってくれるので、弾いていても心地よく、何よりも呼吸ができるようになりました。

 

また人柄も本当にチャーミングで、曲の最後のリズムがトリッキーで難しい箇所では、「とにかく何が起こっても僕を信じてついてきてください。僕がわからなくなって君達に合わせるかもしれないし、できないかもしれない。でも一番大切な事は終わった時にハッピーでいる事です。どんな事が起こってもこの曲が終わったら皆で笑顔でいましょう。きっとそれだけでお客さんは上手くいったのだと思ってくれる筈です」と。

 

練習の進め方にも無駄がありません。今までは意味のない何をやりたいのかよくわからない時間を永遠と潰していましたが、自分の求める物を明確に要領良く示してくれるので、悪いエネルギーを使う事がなく、疲れ方が違います。

 

10年我慢して、ようやく自由になれたと言うのが正直な感想です…