大島莉紗 〜パリ国立オペラ座からの便り〜

パリ国立オペラ座管弦楽団のヴァイオリン奏者によるブログ。

シーズン最終日

昨日で2020〜2021年のシーズンが終わりました。2ヶ月しかお客様の前で演奏できませんでしたが、最後の数週間は本当に怒涛の様に忙しく、1年間びっちり演奏してきたかの様な感覚です。

 

この1週間の間にオペラ座も一気に通常に戻り、観客席も満員。1人一つで快適だった譜面台もいつもの様に2人で一つに戻され…

全員が一斉に同じ所でページをめくる滑稽さや、面倒さからは解放され、隣の人がめくってくれる楽さはありますが、やはり楽譜は見辛く、楽譜を見る際、真正面からではなく身体が捻れているため体の不調も増してきました。

 

とは言え、一つのものを2人で見る事によってお互いが体を寄せると言うのは、音の聞こえ方がまるで違い、一気にアンサンブルをやっているという気分に戻りました。

オペラ座では1人一つの譜面台を使っていた時も、ピット内の狭さから間隔を十分に取れず、通常と同じ間隔で弾いてはいたのですが、それぞれが真正面の楽譜を見るというだけで、隣の人の音はびっくりする位聞こえなくなっていました。

体の向き一つで音の聞こえ方がこれ程変わるというのも、今回のパンデミックで得た大きな事です。

 

さて、普通のコンサートでは開演が5分おしと言うこともよくありますが、オペラ座では公演時間が長い為、必ず開演時間ぴったりに始まります。しかし今は劇場入場の際、陰性証明書やワクチン接種証明書の提示が求められている為に手間取り、10分以上遅れて始まるので、帰宅時間も遅くなり、オケ内からもかなり不満の声が上がっていました。

いつもはメトロから上がってすぐに楽屋口に入る為に劇場入り口を見た事はなかったのですが、昨日別ルートから出勤した際に目にした光景にはびっくり。開演15分前なのに、まだ50メートル近い列となっていました。これをすべて捌くのは本当に大変そうで、今日は20分遅れの始まりかなと思っていましたが、いつもの様に10分程度。

という事は毎日これだけの人を少ない人数で捌いていたのかと思うと、感謝の念に堪えません。

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