大島莉紗 〜パリ国立オペラ座からの便り〜

パリ国立オペラ座管弦楽団のヴァイオリン奏者によるブログ。

コロナ禍で変わった事。オーケストラ編

いまや全世界の基準となってしまったソーシャルディスタンシング。イギリスやドイツは2メートルなので、見た目も今までとだいぶ変わりましたが、フランスは1メートル。しかもピット内はやはり狭く、1メートルの距離はとても取れず、50センチ位なので見た目はあまり変わりません。

 

しかし譜面台は今までの様に2人でシェアせずに、弦楽器も全員1人一台の譜面台を使っています。

 

コロナになって本当に良かったと思う唯一の事がこの事。譜面台を遠い斜めの角度から見ると言う事は、本当に嫌でした。近視の上に乱視の私は見づらくて、3度上や下を弾いてしまう事が多々ありました。いくら家で斜めに座って練習をしても慣れる事はなく、イライラが募るばかりでした。

おまけに一つの楽譜を2人で見ると、どうしても体の半分は隣の人の方向を向くので、否が応でも相手の一挙一動が気になってしまう。貧乏ゆすりをする人や、リズムを足で数える人など、本当にストレスフルでしたが、今は楽譜を真正面に見る事ができ、自分に集中する事ができて快適です。

 

また楽譜も、今までは毎回事務の人が公演前に譜面台に楽譜をセットし、公演後に全ての楽譜を回収していたのですが、最初のリハーサル時に自分の楽譜が配られて以降は、全て自分で持ち帰り管理する事になりました。

私達は席が決められておらず、毎回公演毎に好きな席に座るので、当然楽譜も席に置かれている物を使っていました。その為、指使いを書く事ができませんでしたが、今は自分の為だけの楽譜なので、書き放題。おまけに日本語もOK。

 

仕事に来た時にサインしていた出欠表もボールペンを使い回すと言う事で禁止。今は事務局の人が全員を確認しながらチェックしています。

 

今やで慣習として何の疑問も持たずに行ってきた事ですが、見直しの良いきっかけになったかもしれません。